銀行マンの弟

私の弟は5年前まで、銀行マンでした。田舎の地方銀行だったので、のどかで営業先は温泉街の旅館がメイン。行く先々でかわいがってもらい、なかなか恵まれた環境だったのか、まずまずの新規資金を集められる行員ではあったようです。
しかし、銀行も金融の自由化に伴い、徐々に貯蓄だけでなく金融派生商品、いわゆる株式投資信託や、為替のリスクの伴う外国の債券を運用した商品など、元本保証でない商品への投資のあっせんが営業のウェートを年々占めてきていました。
銀行が手数料率の高いそのような商品が取り扱えるようになった今、そうなるのはあたり前のことなのですが、そのリスクをしっかり理解しているわけではない、田舎のおじいちゃんおばあちゃん達にも元本割れのするかもしれないそのような商品も売らなければいけません。

 

『銀行はお金を預かって利息を付けてくれるところ。』という意識が強く、この低金利、もしかしたらもう少し増える!!

 

・・・と思えば、「銀行さんの勧めるものなら買っときます。」と案外あっさり買う方が多かったらしいです。

 

私は結婚を機に寿退職した元証券レディーです。証券会社に居たころ、毎日投資信託の営業をしていましたが、私のお客様というのは元々その証券会社と取引のあるお客様を先輩から引き継ぐことが多かったので、バブルがはじけて痛い目に遭っている人が大半でした。

 

投資信託をそうゆうお客様に新規資金で購入してもらうというのは、自発的に来ない人以外、なかなか簡単にいかないのが実情で、数字を作るのに結構苦労しました。

 

しかし、新規資金での購入が無理な場合は、お手持ちの債券、公社債建てのリスクのほぼない商品からハイリスク商品への乗り換えを進めることでなんとか数字を作ることもしばしば・・・。

 

銀行の営業なら、新規資金が見込めないときは今まで貯蓄してもらっていたお金がいくらでも転がせる状況!!

 

証券業界からすると、「なんて素敵な環境!!」と思ってしまいますが、やっぱり、銀行の行員からしてみれば、大切なお客様、自分を信じてくれる、おじいちゃんおばあちゃんの老後の蓄えをつぎ込んでもらっていると思うと、とりあえず商品の内容は了承してもらっていても『ズーン・・・』と重い、責任感がのしかかる様です。気持ちは分かります。

 

その重圧に耐えかねてか、私の弟は心機一転、転職しました。
銀行を辞め、医療の専門学校に行き、今は理学療法士としておじいちゃんおばあちゃんばかりが詰めかけるデイケアセンターでリハビリを必要とする方と向き合う仕事をしています。

 

銀行に5年以上勤めてからの転職でしたので、再スタートとしては早くはなかったようですが、今の焦りの無い弟の顔を見ると、人生3歩下がって見渡せる余裕ができたみたいで良かったな・・・・と思います。

 

投資の機会を与えてくれる仕事も経済が発展するためには重要な仕事ですが、やっぱり大事なお金を預かるのは、この不況の世の中、相当向いていないと厳しいですね。

 

銀行への就職に向く人というのは、商品を信じて、景気の先行きを信じて、会社を信じて、そして何よりもマインドコントロールがしっかりできる人なのだろうなと私は思います。そして、自分の担当者は、景気の先行きをしっかり読める人であることを願っています。

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